過去の投稿2006年2月26日

2月26日

★  先週の中部中会一泊教師会は、吉岡繁先生(元神戸改革派神学校長)をお招きして、最近、出版された「説教学ノート」をめぐって学びました。私どもの教会は、16世紀の教会の改革運動によって誕生いたしました。教会の改革の核心部分は、ひとことで申しますと「礼拝の改革」にありました。「教会の生命は礼拝にある」(20周年宣言)のですから、礼拝が神の言葉によって改革されたとき、必然的に、教会の制度も改革されざるを得ませんでした。そこに私どもの新しい教会、すなわち福音主義教会(プロテスタント教会)が誕生しました。そのなかで、後に改革派教会と自称することとなる私どもの教会(教派)は、教会改革を中途半端にするのではなく、徹底することに力を注ぎました。その徹底性が、聖書を徹底的に重んじる教会の姿勢を求めることとなりました。「聖書のみ」を、また同時に、「聖書全体」を神の言葉、権威とする、「徹底して聖書に生きる」教会の形成を目指しました。そして、聖書を徹底的に重んじる教会は、必然的に説教を重んじる教会になります。聖書の権威が決定的に発揮される場所が礼拝式であります。聖書は「神礼拝の書」、「礼拝を成立させる書」なのです。皆様には、ほとんど体験的な理解として聖書の説教の重大性をわきまえておられることと思います。ですから、牧師の最大の務めが何であるかもご理解いただけるものと思います。
☆  今月は、説教塾の二泊三日の「クリニック」にも出席し、説教について集中的に学んだことになります。日本において「説教」と「説教学」の権威は、加藤常昭先生です。この先生との対話なしに、今日の説教学について語ることは、ほとんど学問の名に値しないでしょう。しかし・・・、この先生にしてなお、「説教学」としての著述がありません。吉岡先生の書物は、吉岡先生なりの説教学「ノート」であって、なお「説教学」では、ありません。その意味では、私どもの教会は、説教を重んじる教会でありながら、説教学を構築できていないわけですから、神学的怠慢のそしりをまぬかれないかもしれません。ただし同時に、これほどまでに、体系化が困難である事実をも思わさせられます。しかし、それでも、牧師は、毎主日、「神の言葉の説教はすなわち神の言葉」(第二スイス信条)としての信仰に固くたって、御言葉を説教するのです。そして、事実、そこで神礼拝が成り立っている、起こっているのです。説教は、「聖霊の」、恵みの「手段」だからです。

★  「まことの教会」「本物の教会」はどこにあるのか。改革者たちは、ローマ・カトリック教会に対して提示しようとして、「ただしい説教が語られ、聴かれていること」「聖礼典(洗礼・聖餐)が正しく執行、受領されていること」「神の言葉にしたがって教会訓練(戒規)が執行されていること」の三つとしました。なによりも説教です。ですから、教会(員)は常に、説教者のとりわけ説教のために祈ることが求められているのです。そして、説教のために祈る教会は、まさに、御言葉に生きる教会の姿を映し出すことができるのです。

☆  ある先輩の牧師が自分は、バッターで言えば、7割5分ですと仰いました。その後、何人もの牧師たちが楽しく言及されました。7割5分とは、月4週のうち、三回までは自分なりに満足できるが、一回は駄目である・・・ということでした。わたしは、「うーん」とうなりました。自分はどうか・・・。いつも全力投球だけは心しています。それだけは、偽りがありません。しかし、7割5分ヒット(あるいはホームラン?!)を打っているのか・・・。しかし全打席、目指していることだけは確かです。それなしに、どうして説教卓につけるか、おそろしくてわたしには到底できません・・・。これは、三振だと思って説教を語ることなどできないのです。こう考えますと、打率のたとえで説教を語ることはできなくなるような気がします・・・。でも、よくわかるのです・・・。

★  三振か、ヒットかホームランか、結局、教会員が見せてくれるしかありません。それが説教の力です。 先週の説教のなかで、ステファノの説教について触れました。彼の説教は、人々を悔い改めに導くことができず、むしろ、石を投げられました。空振り三振でしょうか・・・。しかし、それも力ある説教です。しかし、同時に彼の説教の一人の聴衆が、後の使徒パウロその人であったことを思えば、これはホームランでしょう。

☆ 朝夕の祈祷会は、ついに、「教会」を読み終えました。「祈りへの道」から始まった、読書会方式の学び会は、まさに、「教会の交わりのなかで【のみ】知る真理」を体験する喜びの連続でした。次回の、ウエストミンスター信仰告白の学びをどのような「方法」でするのか・・・。学びの家、そして祈りの家としての名古屋岩の上伝道所は、まさに「神の民の慰めの共同体」であると、しみじみ感謝を深めております。