過去の投稿2006年8月6日

8月6日

★  「マイナスの頂点」、これは、今、礼拝説教で与えられているローマの信徒への手紙第7章を説明したある説教者の言葉です。人類の歴史のなかで、旧約聖書と新約聖書をあわせても、この箇所以上に、人間の罪と死のおぞましさ、惨めさ、悲惨さを記した箇所はありません。先週の朝の祈祷会でも、マタイによる福音書第5章の律法の完成者としての主イエス、第七戒「姦淫してはならない」の御言葉、そして「富める青年」の物語を合わせて読み、キリスト者と律法との関係をおさらいしました。「わたしはなんと惨めな人間なのでしょう」という言葉と「主イエス・キリストを通して神に感謝します」という言葉とが、何の矛盾もなく、むしろ、ワンセットであるからこそ、自分の罪と死(滅び)の悲惨さを知り、おののき、叫ぶことができることを確認しました。罪の正体を本当に知らせることができるのは、律法を正しく知ることを通してです。そして、律法を正しく知る道は、主イエス・キリストを知る道以外にありません。そうであればこそ、光よりの光なる主イエス・キリストの救いの恵みのなかでこそ、私どもは自分の罪を嘆き、同時に、救いの喜びを感謝し、罪との戦いにとことん挑戦し続ける聖化の歩みへと駆り立たせられる(解き放たれる)のです。

☆  先週、学生の試験問題を読みました。その中で一人の学生のレポートを見ながら、本当に、驚かされました。たった半年の講義の中で、キリスト教に対して大変正確で深い理解を示していました。私どもの礼拝式に出席したことは実に大きかったと思います。正直に申しまして、講義の準備や最中は、大変な苦労でした。しかし、その結果がこのように現れたことで、小さな奉仕は豊かに報いられたことを心から感謝しました。しかし、同時にさらに思わされました。このような学生であれば、このまま、放っておいてよいわけはないのです。「やがて」、などではなく、「今すぐに」、教会の生活のなかで、いよいよ、信仰の真理へと進んでいただきたい、救われてほしいと祈らずにおれません。お祈りください。
   夜の祈祷会で菊池姉が先週の説教原稿を友人に渡されたことを伺いました。「悩む力」ということや、  罪の問題のことを、伝えたかったのでしょう。また、先々週、新海兄は、遠方の友人のために近くの教会を紹介してほしいとたずねられました。伝道すること。とにかく、福音を伝えること。これこそ、私どもキリスト者の使命であり、 特権です。それぞれの立場、持ち場において精一杯、担ってまいりましょう。そのために、祈りましょう。

★  先週は、7名の兄姉と、豊明教会の就任式に駆けつけました。わたしは、伝道者のための勧告を特命委員としてさせて頂きました。私自身、すでに牧師として18年の歩みを続けることが許されました。梶浦先生には、整った教会に招聘され、中会によって就任式を挙行され、出発できる伝道者は幸せであると、自分の経験をもとに申しました。それだけに、献身を深めて欲しいと勧めました。
伝道者、説教者は、説教が生命です。説教の言葉が届くためにどうしても必要なのは、平たく言いますと「尊敬」です。尊敬されないところで、説教の実を豊かに結ぶことは困難です。伝道者には、そのために、 献身の徹底が求められるのです。語弊があるかもしれませんが・・・、サラリーマンのような教師はありえません。しかし、彼だけではなく、教会員にも求められることがあるはずです。それは、職務を「尊重」することです。伝道者の職務が軽んじられたら、教会は決定的な危機となります。しかし、日本の教会では、どれほど、牧師と会員との関係が壊れ、会員が去る、牧師が去るということが起こってきたことでしょうか。これを 乗り越えることは、教会に生きること、福音に生きることと直結しています。皆様につまづきを与えることのないようにと祈り心します。また、皆様は、これからも祈りを集め、また熱くしてお支えくださいますように!

☆  先週、実は、たまたまですが、本屋で、「靖国神社解放論」という書物を見つけ、購入しました。300ページほどのものですが、数日をかけて読み終えました。著者は、日本キリスト改革派教会東京恩寵教会会員、東京基督教大学教授の稲垣久和氏です。この欄でも紹介したことがあったかと思いますが高橋哲哉氏の「靖国問題」は、この問題を語る上で決定的に重要な書物であると思いますが、その中で、高橋氏は、稲垣氏を厳しく批判しました。この書は、それに応えるものとも思います。稲垣氏は、今日の日本にもっとも必要なのは、「公」と「私」の二元論ではなく、「公共」の概念を含む「三元論」によって考えることであると訴えておられます。「公共哲学」の樹立です。今、日本は、憲法改正、教育基本法の改正によって「危険水域」を越えてしまう最後のぎりぎりの線にあると思います。今年の8月の読書会のテキストは、高橋氏の講演録。どうぞ、お読み下さい。日本の教会の戦争責任、戦後責任をご一緒に考えましょう! 「聖書」に徹底して!!