過去の投稿2011年5月28日

「日の丸・君が代」の強制に関する要請 


西部中会「世と教会に関する委員会」は、府庁に赴き、下記の要請文を、関係各位に直接、手渡しされました。
迅速な委員会の対応に心からの敬意と感謝を申し上げます。

私自身、大阪府に対し、http://www.pref.osaka.jp/fumin/fusei_iken/uketuke.html 下記のごとき意見表明をいたしました。

「5月25日(水)、大阪府の橋下徹知事が代表を務める地域政党・大阪維新の会が、大阪府内の公立学校の教職員に対して、起立して「君が代」斉唱することを義務づける条例案を府議会に提出しました。

ことは、単に大阪府の問題にとどまりません。橋下知事が、どれほど「組織的マネジメントの問題」と議論を進めても、すでに、「日の丸・君が代」に関する数多くの訴訟がなされています。焦点は、日本国憲法にかかわるものであり、憲法に抵触することが争われています。

思想と良心の自由こそ、人間にとって根源的な価値であり、人間の尊厳そのものです。これを、法律で、罰則を設けて、強制しようとすることを決して、容認することはできません。私自身は、キリスト者ですが、それは、神のみを神とするという、信仰からの要請である以上に、神が人間にお与え下さった良心の自由、尊厳を踏みにじる行為と考えるからです。私どもは、このような条例が制定されることを、心から危惧いたします。

どうぞ、橋下知事、大阪維新の会の議員の皆様には、強制条例の撤回をお願いいたします。府政にかかわる方々には、なにとぞ、慎重な審議をお願いいたします。そして、このような企てに抗議の意を表し、強く反対いたします。 」
                      

    2011年5月26日

             様
           日本キリスト改革派教会西部中会
                世と教会に関する委員会
               委員長     袴田 康裕
「日の丸・君が代」の強制に関する要請 

私たちはキリスト教信者として、入学式・卒業式において日の丸掲揚・拝礼を行わないことと、教職員に対する君が代の斉唱を強制しないことを強く要請いたします。それゆえ「大阪府の施設における国旗の掲揚及び職員による国歌の斉唱に関する条例」に強く反対いたします。その理由は以下の通りです。

1.「日の丸・君が代」の問題は基本的人権の問題だからです。 かつて「日の丸・君が代」が国民の精神的自由を奪い、戦争遂行のために国民精神を統合するために重大な役割を果たしたことは否定できません。またそれらが、宮城遥拝・神社参拝などのいわゆる「天皇教」のシンボルであり「讃美歌」であったことも否定できません。それゆえ、「日の丸・君が代」は個人の思想信条また信仰と無関係ではありません。まさに、思想・良心の問題として、さらには信仰の問題として、これに従えない人たちがいます。日本国憲法はいかなる人にも思想・良心の自由を保障しています。

2.「日の丸・君が代」の強制は、教育の荒廃を招くからです。 
「日の丸・君が代」に反対している人たちの理由は様々だと思います。しかし、自己の良心のゆえ、信条のゆえに従えない人も多くいます。そのような人たちにとって、職務命令による強制は、時に病を発症するような強い心理的ストレスとなっていることが、専門家によって報告されています(野田正彰『子どもが見ている背中』、岩波書店、2006年)。良心的な教師たちが苦しめられていることを、子どもたちは見ています。教師をいじめて教育が良くなることはありません。強制は学校教育のさらなる荒廃を招きます。

3.「日の丸・君が代」は良心の問題そのものだからです。 
私たちキリスト者は聖書の神を信じる者たちです。それゆえ他の神々を信じたり、拝することはできません。たとえ「社会儀礼」と一方的に位置づけられても、日の丸に拝礼したり、君が代を讃美することは信仰的良心としてできません。こうした少数者の良心を踏みにじらないで頂きたいと思います。私たちにとってこの問題は、決して「組織マネジメントの問題」(橋下知事)ではなく、良心の問題なのです。

   (連絡先) 吹田市千里山西3-8-25  弓矢健児(千里山教会牧師)