滝ノ水中学校第20回卒業式 挨拶
2005年3月8日
● 本日は、卒業生の皆さん、またご父兄の皆様、
ご卒業おめでとうございます。
また、PTAを代表して、今日の良き日を迎えるために、
お励みくださいました教職員の皆様には、心からの感謝を申し上げます。
● さて、滝ノ水中学校の校訓は、「信頼」と言う漢字二文字でしたね。
「しんらい」とは、信じることと信じられることです。
人が生きる上でのまさに基本のことです。
たとえば、赤ちゃんは、先ず、お母さんに全幅の信頼を寄せます。
それ以外に生きようがありません。そして、それが答えられて行く
なかで人は安心して、そして勇気をもって生きることができて行く
のです。
● 皆さんは国語の時間に、「走れメロス」を読んだしょう。メロスは、
自分のために身代わりに処刑されることを申し出てくれた友人を
裏切らないように、走り続けました。
なぜ、走り続けたのでしょうか。メロスは、夕日が沈むのを見つめて
こう言いました。
「わたしは信頼されている。信じられているから走るのだ」
彼の信実は、人を信じることができない王様の心をも動かしました。
遂には、彼らの仲間の一人になるのです。
● しかし、「そのようなことはお話の世界だけではないか、自分のことを
信じてくれている人はいないし、信じきれる人もいないさ」と
考えている人もいるかもしれません。
そのような気持ちを持つことは、皆さんの年齢では当然かもしれません。
しかし、皆さんの心にぜひ、刻んでいただきたいことがあります。
それは、送り出す先生方も、ご両親もあなたのことを信じているという
ことです。もちろん、先生も親も、不完全な大人ですから、
しばしば失敗するのです。皆さんを傷つけたこともあるでしょう。
でも、今日のこの日を迎えるまで、あなたのことを見守り、
信じ続けてきたのは確かです。あなたは多くの人に、
そして友達に信じられているのです。
● さて、メロスは、最後に、この物語のなかのもっとも重要なセリフと
なるのですが、このような意味のことを言いました。
「友達に信じられているから走るのではない。
もっと恐ろしく大きな方、
天と地を創造された方に信じられているから走るのだ」
卒業生の皆さん一人ひとりが、一人のメロスとして、
ここから新たに歩き始めてくださることを期待し、信じています。