滝ノ水中学校第二十一回入学式 挨拶
2005年4月7日
● 本日は、新入生のみなさん、またご父兄の皆様、ご入学、おめでとうございます。
● 皆さんは六年前、「一年生になったら」と心に歌いながら小学校に入学したのではありませんか。そして、今、中学生になって、あらためて新し い友達が増えること、何よりも、心の友、親友を得ることを期待している のではないでしょうか。その願いがかないますように。
● 「まどみちお」という、キリスト者の優れた詩人、童謡作家がおられま す。先ほどの歌やあるいは、「ぞうさん・ぞうさん」という童謡を書いた 人です。わたしは、この入学式の為に、まどさんの「ふしぎなポケット」 という詩をご紹介したいと思います。ああ、あの歌かと歌える人も少なく ないと思います。
ポケットの なかには ビスケットが ひとつ
ポケットを たたくと ビスケットは ふたつ
もひとつ たたくと ビスケットは みっつ
たたいて みるたび ビスケットは ふえる
そんな ふしぎな ポケットが ほしい
そんな ふしぎな ポケットが ほしい
● 皆さんは、「そんな不思議なポケット」が欲しいですか。いえその前 に、そんなポケットなんかあるわけない、と思いますか?何故、中学生に なった皆さんにこのようなお話をするのでしょうか。実は、親友づくりの 秘訣がこの詩の中には見事に隠されていると思うからです。そればかりで はありません。人生で、本当に価値のある生き方もこのなかに隠されてい ます。
● もちろん、わたしたちのポケットは、ドラえもんのポケットではありませんから、ビスケットの量が増えるということは決してありません。けれど も、よく考えてください。ポケットに入れたビスケットをたたけば、割れ ます。割れたら小さくなってしまいますが、二つになります。その増えた 一つをお友達に分けてあげるとどうなるでしょうか。喜びが二倍になるの です。そのためには、たたくことが必要なのです。たたくということは、 自分のもっているものを、分けてあげることではないでしょうか。そうす ると、友達は増え、喜びは増えて行くのです。
● 聖書の言葉のなかに、「受けるよりは、与えるほうが幸いです。」という言葉があります。
友達に、自分のものを与え、分かち合うことができたら、すばらしい三年間となるはずです。あらためて、入学おめでとうございます。