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「ようこそ、箱舟へ」親子合同礼拝式

「ようこそ、箱舟へ!」
2006年5月14日 親子合同礼拝式
 暗唱聖句 ペトロの手紙一第3章19-20節
「この箱舟に乗り込んだ数人、すなわち八人だけが水の中を通って救われました。 この水で前もって表された洗礼は、今やイエス・キリストの復活によってあなたがたをも救うのです。洗礼は、肉の汚れを取り除くことではなくて、神に正しい良心を願い求めることです。」
聖書朗読 創世記第6章9節~22節
「これはノアの物語である。その世代の中で、ノアは神に従う無垢な人であった。ノアは神と共に歩んだ。ノアには三人の息子、セム、ハム、ヤフェトが生まれた。
この地は神の前に堕落し、不法に満ちていた。 神は地を御覧になった。見よ、それは堕落し、すべて肉なる者はこの地で堕落の道を歩んでいた。
 神はノアに言われた。「すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。彼らのゆえに不法が地に満ちている。見よ、わたしは地もろとも彼らを滅ぼす。  あなたはゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟には小部屋を幾つも造り、内側にも外側にもタールを塗りなさい。  次のようにしてそれを造りなさい。箱舟の長さを三百アンマ、幅を五十アンマ、高さを三十アンマにし、箱舟に明かり取りを造り、上から一アンマにして、それを仕上げなさい。箱舟の側面には戸口を造りなさい。また、一階と二階と三階を造りなさい。
見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、命の霊をもつ、すべて肉なるものを天の下から滅ぼす。地上のすべてのものは息絶える。
わたしはあなたと契約を立てる。あなたは妻子や嫁たちと共に箱舟に入りなさい。また、すべて命あるもの、すべて肉なるものから、二つずつ箱舟に連れて入り、あなたと共に生き延びるようにしなさい。それらは、雄と雌でなければならない。それぞれの鳥、それぞれの家畜、それぞれの地を這うものが、二つずつあなたのところへ来て、生き延びるようにしなさい。更に、食べられる物はすべてあなたのところに集め、あなたと彼らの食糧としなさい。」
ノアは、すべて神が命じられたとおりに果たした。」

今日は、親子合同礼拝式です。日曜学校の礼拝式と大人の礼拝式を合同して捧げています。先週は、多くのお友達がお休みをして、先生たちは、本当に寂しい思いで一週間を過ごしました。けれども、今日、ここで皆さんと一緒に神さまのところに来ることができました。礼拝を捧げることができていることを心かうれしく思います。そして、誰よりもそれを喜んでおられるのは、僕たち私たちを教会に、呼んでくださった神さまです。今、その神さまを、心を込めて礼拝し、感謝を捧げたいと思います。

今、僕たち私たちは、旧約聖書の創世記を学び始めています。最初に、ちょっとおさらいをしたいと思います。初めに、神さまが天と地とを創造されました。はじめ、世界は、真っ暗闇でした。ぐちゃぐちゃでした。神さまは、言われました。「光あれ。」すると、どうでしょう。この真っ暗な闇の世界がまばゆい光に包まれたのです。さらに神さまは、すべてのものを造られて行きました。それをご覧になって、「すばらしい」「とても良い」と仰せになられました。その中でも、最高にすばらしいもの、良いものは、人間でした。僕たち私たちは、神さまにつくられた美しいもののなかでとびぬけてすばらしい、最高の作品なのです。

実は、神さまは、人間を楽しませるために、美しく豊かな世界を造ってくださいました。また神さまは、人間を楽しませるために、おいしい食べ物を有り余るほどお与えくださいました。さらにまた、神さまは、人間を楽しませるために、一緒に生きることがうれしくて仕方がない、大好きなもう一人の人間を与えてくださいました。なによりもすばらしいのは、人間を楽しませるために、もっともすばらしいもの、もっとも美しいもの、聖なるもの、つまり神さまといつもいっしょにいることができるようにしてくださったのです。神さまは、本当に、人間が大好きなのです。僕たち私たちに恵みと愛を与えることが大好きなのです。

ところが、これは、先週の礼拝の説教ですけれど、人間は、そのような神さまの愛を裏切って、神さまの言うことを破ってしまいました。アダムさんとエバさんは、食べてはいけないと禁じられていた木の実を、悪魔に誘惑されて、食べてしまったのです。

このような罪を犯した人間は、その後、どんどん悪くなってしまいました。人間は、悪いことばかり考えるようになりました。ますます神さまに背き続けて行ったのです。美しい大地は人間の悪によって、どんどん汚れてきてしまいました。

そこでついに、神さまは、人間をはじめこの地上の生き物を裁こう、滅ぼそうとお決めになられました。どんなに悲しかったことでしょうか。しかし、神さまは、どうしても、人間がそのまま、悪いことをし続けて進んで行くままにさせることはできなかったのです。それは、神さまの責任ではなく、人間がいけないからですね。

けれども、神さまは、ノアさんにだけ、これから何をしようとしておられるのかを、教えられました。ノアさんが、誘惑に負けないで一人だけ、神さまを信じていたからです。8人の家族と、他のあらゆる生き物を雄と雌をも助けようされました。そこで、大きな、とてつもなく大きな、たとえば、小学校の体育館を二つあわせたよりももっと大きい箱船です。それを三階建てにした船を作るようにお命じになられました。 
ノアは命じられたとおりに造り始めます。それを見ていた人たちは、なんと思ったのでしょうか。おそらく、こんな会話が何度もなされたと思います。

「ノアさん、あなたは、何年も何年もかけていったいこんなところで何をつくっているのだね。」「見たら、わかるでしょう。船です。」「海も川もない、こんなところで大きな船をつくって、どうやって運ぶんだい。あんたたちは、「いつもお祈りして、いつも神さまを信じて生きるといっているけれど、変わり者だなぁ。そんな生き方は、流行らないよ。そもそも、神さまなんて、ほんとにいるのかどうか、わからないじゃないか。いるんだったら、一度、見てみたいもんだね」

けれども、ノアさんと家族は、毎日毎日、何十年もかけてこの巨大な船を造り続けました。ノアさんは、一生懸命船を造りながら、一人でも二人でも、一緒につくってくれる人、一緒に乗ってくれる人が現れるのを祈り願っていたことと思います。ところが、誰も、手伝ってくれなかったのです。そしてついに、神さまは、準備が整ったことをご覧になって、世界に大水を降らせられました。

昨年8月にアメリカの南部の州に、ハリケーンが襲いました。ルイジアナという町の70パーセントが、水に浸かってしまったと云われています。まれに見る大災害になりました。テレビで見たお友達もいたかもしれません。けれども、ノアの時代の洪水は、こんなものではなかったのです。40日40夜雨が降り続けたのです。日本であったら、たった一日でも、バケツをひっくり返したような大雨が降り続けたら、大変な災害が起こってしまいます。それが、40日間も続いたのです。

ところが、悲しいことに、大勢の人たちは、結局、最後まで箱舟に乗ろうとしませんでした。「あぁ、やっぱり、神さまはおられるのだ。その神さまの前で、神さまを信じないで、勝手なことばかりやってきた俺たちが間違っていた。今こそ、神さまのところに戻ろう、ノアさんの箱舟のなかに入れてもらおう」このように考えた人は、一人もいなかったのです。

さて降り続いた大雨が止みました。ノアさんは外にでました。ノアは、何をするよりも最初に、神さまに礼拝を捧げました。神さまは、この礼拝を受け入れてくださいました。神さまは約束してくださいました。「もう二度と、水をもって、この大地を呪い、命あるものを滅ぼさない。人間がいつも心に悪いことばかりを考えることは、分かっているから」そして、その証拠に、虹をかけてくださいました。大きな虹が、光の中で七色に美しく輝いたことだと思います。

さて、ノアさんの後から生まれた人間は、どうなったのでしょうか。アダムとエバの子ども達とは違って、少しずつ、神さまに向かってよく生き始めたのでしょうか。残念ですが、違います。人間は、やっぱり、神さまに逆らい続け、ますます悪くなってしまいました。

それは、今の世界を見れば分かるのです。とても悲しいことですが、人は、お互いに騙しあっています。意地悪しあっています。喧嘩しあっています。自分が一番でなければ気に入らないと言います。自分が楽しければ、他の人がどうなろうと関係ないと考えています。国と国とは、戦争しています。違う民族だからと言って、平気で殺しあったりもしています。

つまり、神さまにつくられたはずのすばらしい人間の姿、自分自身をますます粉々に壊してしまっているのです。それは他の人のことだけでしょうか。僕たち私たちもまた、幼いときから、「これをしてはだめ、これをしなければだめですよ」と、教えられても、それができないのではないですか。何度、だめと言われても、同じことをしてしまいます。それなら、神さまは、僕たち私たちを、だめな子。悪い子。そんな子は、裁いて、滅ぼしてしまおうとお考えになられるのでしょうか。

いいえ、違います。神さまは、なんとしても、僕たち私たちを赦して、神さまの子にしようとお考えになられました。けれども、神さまであってもできないことがあります。天地をお造りになられる神さまでもできないことがあるのです。それは、一度罪を犯してしまった人間を、そのまま赦してしまうことです。友達どうしなら、こんなこともあるのではないですか。「君も悪かった。でも、僕も悪かった。だから、これは『おあいこ』にしようよ。ごめんね。赦してね。」難しいけれど、できないわけじゃぁないでしょう。それなら神さまは、どうでしょうか。「神さまも悪かった、人間も悪かった。だから「おあいこ」です。」こんなことがあるでしょうか。決して考えられません。神さまはこれっぽっちも悪いことをなさっておられないからです。それなら、神さまはどうされるのでしょうか。やっぱり、悪いことをした人間は、滅ぼすしかないのでしょうか。

神さまは、お考えになられました。考えただけではなく、実行されました。それは、御子なる神さま、イエスさまを人間になさることです。そして、人間となられたイエスさまは、僕たち私たちの罪をみんな肩代わりして、背負ってくださいました。そして、神さまからの罪の正しい裁きを、僕たち私たちの身代わりになって受けてくださったのです。神さまの方は、少しも悪くないのに、僕たち私たちの罪の責任、罪の罰を引き受けてくださったのです。それが、イエスさまがついてくださった十字架の意味です。しかし、十字架で死んでくださったイエスさまは、三日の後に、お墓をけ破ってお甦りになられました。甦られたイエスさま、僕たち私たちを救うために、さらに天のお父さまのところに戻って行かれました。

それなら、イエスさまは、天に戻られた今は何をしておられるのでしょうか。イエスさまは、すぐにイエスさまのお弟子さんたちに、あることを始められました。それは、何でしょうか。それは、イエスさまを信じる人たちに、聖霊を注いで、イエスさまの教会を、イエスさまを信じる人によって世界中に作ることです。そしてその教会を、ノアの箱舟よりも立派で、大きな救いの箱舟にしてくださいました。

今朝、僕たち私たちは、その箱舟である教会の中で座っています。神さまがお招きくださったからです。雄と雌のつがいの動物たちは、不思議なように呼び集められました。先生は、皆のことをちょっと悪いけれど、この動物たちに似ているなぁと思いました。とても不思議ですが、皆は、それぞれ、友達に誘われて、ここに来ることができたのではないですか。あるお友達は、気がついたら教会にいたんだと言うでしょう。親が教会に来ていたから、生まれたときから、生まれる前から教会に、天と地をお造りくださった神さまの家に生まれ育ったわけです。けれども、大きな違いはありません。どっちにしても、ここにいる私たちは全員、神さまに選ばれ、招かれ、連れてこられたわけです。神さまが、「なんとしても、どんな犠牲を払ってもいいから救いたい、救おう、神さまの子どもにしよう」と決めておられるからです。この神さまの恵みによって、ここに座っていることができているのです。英語で、みんなの座っている席、場所のことを特別にシップと呼ぶことがあります。これは、船という意味です。昔から教会の絵のマークの一つに、船の絵柄があります。マストには、十字架がつけられている船の絵です。それが教会のマークなのです。教会は、救いの箱舟です。ここに来れば、この家の中に入れば、イエスさまがお会いくださるのです。ここにくれば、イエスさまの御言葉、神さまの御言葉を聞くことができるので、イエスさまにお会いできるのです。

今日の暗唱聖句の中で、イエスさまのお弟子のペトロさんは、「教会に入るということは、洗礼を受けることですよ」と、教えてくれました。洗礼は、イエスさまを信じないと受けることができませんから、つまり、イエスさまを信じることが、いちばん大切なのです。教会という箱舟に入るというのは、イエスさまを信じるということなのです。だったら、僕たち私たちは、小さな信仰かもしれませんが、もう、イエスさまを信じているでしょう。イエスさまは、皆さんに天国にいける約束を結んでくださいました。イエスさまは、僕たち私たちに、死んでも死なない永遠の命、神さまの命を豊かに与えてくださいました。みんなは、今、イエスさまを信じてこの教会にいるのですから、神さまの子どもにしていただいているのです。先生は、心から、ここにいる全員が洗礼を受けられるようにと願っています。先生より、もっともっと、イエスさまが皆をそうしてあげたいと願っておられるからです。

神さまの子どもの僕たち私たちは、あのノアさんのように、この箱舟を作る人になることもできるのです。いや、もう、みんなは、日曜学校に通うことによって、立派に箱舟である教会をつくり始めているのです。イエスさまの教会は、大人たちだけの箱舟ではありません。子ども達のためでもあります。いや、今朝ここに来ていない、すべての人たちもここに招かれています。みんなのお友達も、大切な人も、この教会に招かれています。僕たち私たちは、決して、一人ぼっちで天国に入るのではないのです。ノアの家族はたったの8人でしたけれど、今、このイエスさまの教会の中に入っている人たちは何人いるか知っていますか。世界中に、21億人です。三人に一人です。でもまだまだ、足らないはずですね。みんなのクラスのお友達の三人に一人は、教会に行ったことがありますか。どうぞ、誘ってください。これ以上に、神さまのお働きをすることのできる人はありません。
明日から、学校に行きます。でも、箱舟の外に行くことではありませんよ。今日、礼拝している人は、家に帰ってからもイエスさまが一緒にいてくださるからです。イエスさまを信じているなら、箱舟の中です。安心して今週も、天国へと進んで行きましょう。そして、来週の日曜日、ここに戻って来ましょう。

祈祷
天のお父さま、今日は、大人と子どもと一緒の礼拝式を捧げることができましたことを感謝します。イエスさまがつくってくださった救いの箱舟である教会に招いてくださって、みんなと一緒に天国に進んでいます。また、僕たち私たちもこの教会をつくる一人ひとりです。そのことを感謝します。これからもこの教会に通い続けて、イエスさまから離れることがありませんように。天のお父様、お友達を教会に連れてきてください。そのために、僕たち私たちも、勇気とやさしい心をもって、誘えるようにしてください。