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文部科学大臣への応答

11月18日に伊吹文部大臣は「お願い」とするアピールを出しました。
それに答えて、下記の文書に、日本キリスト改革派教会の教育基本法改正反対声明を添えて、送付いたしました。

               2006年11月18日

文部科学大臣 伊吹文明殿
参議院議長  扇 千景殿
内閣総理大臣 安倍普三殿

「文部科学大臣および政府へのお願い」

         日本キリスト改革派教会名古屋岩の上伝道所牧師     

 文科省は、昨日(17日)「未来の君たちへ」「お父さん、お母さん~地域のみなさんへ」と題する「お願い」を出されました。頻繁するいじめによる自殺を受けてのことです。
私どもは「日曜学校」を開き、地域の子どもたちに主イエス・キリストにおける神の愛を伝え、命の尊さを教え、生きる力を育むよう微力を尽くしています。

 さて、先日の衆議院で、「教育基本法改正案」が与党の単独採択によって可決されました。既に10月13日、私ども日本キリスト改革派教会は、この「改正案」に断固反対する声明を出しました。改正案では、国を愛し、伝統文化を尊重する態度などの涵養がうたわれています。かつて「国旗、国歌法」が制定されたときも、決して内心にまで強制するものではないと政府見解が示されましたが、現実は、強制が進んでいます。国を「愛する心」や、さらにはその「態度」まで基本法で明記したことは、国家が、子どもたちの内面深くに決定的な強制力を発揮することを目指しているわけです。

 そもそも、教育基本法は、いわば教育の憲法です。日本国憲法とセットになって、憲法を守り、生きる民を育成するために教育が機能すべきことを定めているのです。憲法も教育基本法も、「政府の過ち」によって二度と戦禍を招かないようにするための、国家為政者を「しばる」ための基本法に他なりません。ところが、自民党の改憲案も、今回の基本法改正案も、国家が、国民を「しばる」と言うまったく逆方向の法律となっています。これは革命的な転換を意味します。

 改正案が法制化されれば、これまで以上に、日の丸、君が代を子どもたちに強制し、教師に強制することに至ります。これは、それを快く思わない者にとっては大きなストレスを与えることになります。これは、国家による大きな「いじめ」ではないでしょうか。いじめている側は、いじめられている側のつらさや悲しみが分からない場合が多いのです。いじめを止めようと呼びかけられるなら、先ず、教育基本法改正案を慎重に審議することが必要です。私どもは、いじめの現実を深く憂慮しています。しかし文部科学省や政府が教育基本法改正案を提出し、単独採決を進めるあり方にこそ「いじめ」の深い根を見ています。憂慮と憤りを覚え、子どもたちの将来とこの国の将来に強い危惧を抱かざるを得ません。

 私どもも、心から伊吹文明文部科学大臣をはじめ皆様に呼びかけさせていただきます。今、進められている教育基本法改正案単独採決のあり方をすぐに止め、私ども国民の幅広い意見を誠実に受け入れ慎重に審議してください。