過去の投稿2008年4月6日

4月6日 開拓伝道開始第14周年記念日

★   1994年の4月3日、その日は、期せずして復活祭、イースターの祝いでもありました。その日、私どもはその最初の礼拝を、細口にある4階建てのビルの3階の一室で捧げました。説教卓はおろか聖餐卓もありません。折りたたみの椅子も不ぞろいのものでした。家にあったカシオトーンというポータブルの最も安いオルガンでの伴奏でした。何もない。あれほどまでに何もない開拓伝道は、他にあるかと思うほどです。しかも誰が来られるのかも分かりません。最初の日の礼拝式の印象は、今なお鮮明です。一種の悲壮感が漂っていました。牧師として何か、確かな自信、保証があったわけではまったくありません。通常、賃貸ビルを借りるためには、通常半年分の敷金が必要です。しかし、半年分のお金などまったくありません。先ず、一ヶ月の賃料の支払いで精一杯だったのです。前任地での会堂土地取得でお世話になった不動産屋さんがオーナーでしたので、交渉の末、免除していただきました。

☆   折りたたみの楽譜立てに聖書を置いて、そこで最初の説教をしました。「神の信頼」という説教です。  その後も何度もこの説教は致しました。あの最初の弟子たちのように、地上的な財産や所有はほとんどありません。しかし、ただ主イエス・キリストが共にいてくださる現実がありました。主に頼ったのです。いへ、 頼るしかありませんでした。格好のよい、英雄ぶった自給開拓伝道ではありません。まったく教会の伝道としては、主の御前にただ申し訳ないような思いで一杯でした。しかし、私自身のなかで、この町に伝道者として遣わされた召命の事実は、揺らいでいませんでした。神学校を卒業し、招聘を受けた教会、それは、スーパーマーケットの二階の集会室をその時間だけ間借りする、そのような教会でした。私どもの日本キリスト改革派教会からすれば、まったく想像もつかないようなあり方で、伝道していたのです。

★  宣教師による集会は、宣教師がアメリカに帰られるとのことで、牧師が欲しい、そこで、神学校への問い合わせがあり、私自身が、神のお召しと受け止めて、赴任したのです。自分の人生のすべてを注ぐ覚悟、 自分の全存在でこの牧師不在の小さな群れを教会として、歴史的な、聖書的な教会として形成する、これが、私の召命、志でした。6年間の歩みのなかで、受洗者も数多く起こされ、教会の土地の取得、教会堂の献堂にも奉仕しました。しかし、具体的な理由となどはなお、当事者もおられ、文章を公にするわけですから、差し控える以外にはありません。しかし、教会を去ることといたしました。

☆   その時の私の心に、与えられていたのは、まさにローマの信徒への手紙で学んだばかりのあの第12章の御言葉でした。「自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。」「悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい」4月3日の日の説教は、「神の信頼」とは、会衆のためにした説教ではありますが、誰よりも自分のためにした説教でありました・・・。(後は、本日の説教に続きます・・・)

★   最初に外部から応援に来て下さったのは、下瀬隆司牧師でした。当時は、単立教会であった柏教会の牧師です。前任地で先生をお招きしてすばらしい講演を伺いました。それは教会のパンフレットにしたほどでした。そこで語られた内容は、私自身がまったくうなづける、教会形成のまさに基本線が語られたのです。ところが教会では、受け入れられることはありませんでした。そのような経緯もあり、先生が駆けつけてくださったわけです。現在、下瀬先生は、日本ホーリネス教団の責任役員になっておられます。先生もまた、  単立から教団形成へと進まれたわけです。別の教派形成の道を進みましたが、友人たちからもそのご活躍ぶりを伺っており、大きな喜びです。

☆   経済的な戦いということでは、最初期、3年間の牧師給与を援助する超教派の団体があり、そこから支援を受けることをアドバイスしてくれる友人がおりました。しかし、それは、どこかの教団に入ることが前提とのことでしたので、お断りしました。そのような中で、私どもが忘れてならないのは、2年あまりの間、毛戸健二牧師、南区にあるキリスト兄弟団の牧師から個人的に、牧師給の支援を受けたことです。今でも、信じがたいことです。まさにキリストにある愛の実践です。見返りはありません。つまり、先生のお世話を受けてわたしが、そちらの団体とのかかわりを進めることは、考えられなかったからです。私どもが辞退しなければ、いつまでも支援を続けて下さったかもしれません・・・。神の憐れみを具体的に現していただいたのです。

★  今年の11月の全体研修会の主題は、あらためて岩の上開拓の原点を学び、継承し、大きく展開することと定められています。今年、志を新たにして、共に伝道と教会形成に献身してまいりましょう。

☆  20年の牧会の歩みともなりました。なお未熟な器です。神の信頼そして忍耐の富、そして皆様の!感謝!!