過去の投稿2012年9月4日

9月2日

★  8月が終わりました。皆さんにとって、どのような夏だったでしょうか。夏。やはり、「夏休み」の夏ということが、思い出の中に深く刻まれています。その意味では、今夏、一日も「休暇」をとれませんでした。予定表では、「信州夏期宣教講座」に出席する「予定」でしたが、さまざまな状況で許されませんでした。その代わり、その数日、何冊かの読書をすることができました。

   「原発と憲法9条 小出裕章著 」これは、日本キリスト教団堅田教会を会場にして、9条の会の主催でなされた講演録です。小出氏のことは、震災後、すぐネット上で知りました。原子力発電を止めない唯一の理由は、これが「核」だからだとの主張こそ、まさに、私どもがしっかりと見抜かなければならなかったことでした。

   そして、この核兵器の製造への執念の背後にあるのは、日米安全保障・日米地位協定にあるだろうということを震災後に、見つめさせられました。そこで、出版まもない「戦後史の正体 孫崎 享著」を読みました。日本と戦後史は、アメリカの占領以降、その圧力を受け続け、敗北し続けている現実を、解き明かす元外務省の官僚の主張は、「高校生にも分かるように」ということで、明晰です。

   そして、「犠牲のシステム 福島・沖縄  高橋哲哉著」も読みました。厳しいキリスト教批判も展開されています。しかし、それは、的外れではありません。「キリストの唯一の犠牲」を、国家ばかりか教会・キリスト者も自分たちの利益のために、弱者を犠牲にしながら成り立たせている論理と倫理へと「すりかえ」をしていることに対して、教会がどのように克服できるのか、しているのかが問われます。

   その後に、読んだのは、「天皇とキリスト 土肥昭夫著」です。同志社大学の教授をされた土肥氏は、日本の教会史のまさに第一人者でした。この書は、これまでの研究を近現代の天皇制にしぼって、まとめられたものです。その中には、すでに読んでいる論文もありましたが、お財布には痛いですが、購入しました。その中で、40年近く前に記された小さな文章(第15章)に驚嘆させられました。高橋氏の「靖国の論理」「犠牲の論理」は、既に、土肥氏がきちんと主張しておられていたからです。土肥先生の急逝を、今更ながら、惜しみます。このような本を、読書会できちんと読むとすばらしいと思います。

   そして、韓国教会関連のもの二冊です。「韓国とキリスト教  浅見雅一 安 廷苑共著 中公新書」と「韓国キリスト教史概論 徐 正敏著です。どちらも7月に刊行されたばかりです。9月の中部中会信徒研修会の主題にもかかわることもありますが、韓国教会の歴史をあらためて学び直す時となりました。そして、日本の教会史を振り返らされました。どちらの書物も、韓国キリスト教の長所、短所をほぼ同じように指摘していることが大変興味深かったです。

    その他、先週の読書会でも少し触れた「公共福祉とキリスト教 稲垣久和著」です。この書物によって、 かつて「日本キリスト教史における賀川豊彦:その思想と実践」を読むかどうか、躊躇していましたが、購入を決断しました。賀川豊彦のことは、戦争協力その他の点で、過去の人として片付け、きちんと向き合わないままであったことは、大きな損失であったと思わされています。ディアコニアに生きる教会を考える上で、やはり、巨大なキリスト者であることは間違いありません。

☆   先週、三川牧師から、東関東中会でなされた「ディアコニアに生きる教会の形成を目指して」と題する講演原稿を頂きました。私のものとは、全く違い、ディアコニアの歴史的概要をきちんと踏まえた論文です。  L・C・マッキーの「執事職」からの引用に、大変、注目させられました。(何度か読み直していたのですが・・・。)「執事は、慈善や社会正義の事柄について教会の教師である」本当にそう思います。いつか読書会で、慈善と社会正義について、わたしが教えるだけではなく、むしろ、執事が「教師」の務めを担って頂く、  その日が来ることを楽しみに待ち望みます。それにしても、講演題を拝見し、とても励まされました。少しずつでも、「ディアコニア」の言葉が動き出し、それが、実際に教会を刷新することができれば・・・と願うからです。

★  今、不思議なように領土問題が集中的に政治課題として浮上しています。とりわけ韓国との軋轢が、危険な状態に行きそうです。日本人としては、何より、「歴史」(問題)に目をつぶってきたことを反省すべきです。キリストの教会は、「国益」を語りません。ただし、残念ながら、歴史的には、そうではありません・・・!国益を超越する視点に立てるかどうか、教会の基本のはずです。このところで、まさに、日本に、日本の教会が貢献できるはずです。来る信徒修養会の小学生の分級では、当初、わたしが平和について、最後の韓国との平和について、お話する予定でしたが、○○委員の申し出て、交代して下さることになりました。