当日の動画を主催者の許可を得て、公開いたします。
http://www.youtube.com/watch?v=wJk_kUk537Q&feature=youtu.be
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緑区9条の会 挨拶
2013年12月15日 緑区ユメリア体育館
相馬伸郎
皆さま、こんにちは。滝の水にある名古屋岩の上教会の牧師をしている相馬伸郎と申します。この度は、この大切な集いでご挨拶の場を与えて頂きました。本当にありがとうございます。実は、9条の会の集いに是非とも出席させて頂きたいと願っていました。しかし教会は、毎週日曜日に、礼拝を捧げていますので、日程の調整がつきませんでした。けれども先日、月に一度しております教会の学び会で自民党の憲法草案を取り上げました。その集会に、9条の会の方が来て下さいました。本当に嬉しく思いました。
さて、私どもは、日本国憲法とりわけ9条を護ろう、これを生かそうと考え、行動しておられる皆さまを心から尊敬し、また、感謝しております。と言うのもキリスト教会が祈り求める世界と日本国憲法が目指す理想の世界とは、とても近いと考えているからです。それなら、私どもキリスト教会が祈り求めている世界とはどのようなものでしょうか。一言で言えば、「平和」です。平和をつくり出すこと、これこそが教会の使命なのです。2000年前、イエスは周りに集まってきた人々にこう宣言されました。「幸せなものたちよ。あなたがた平和を実現する人々、その人たちは神の子と呼ばれる。」そうであれば、日本国憲法の精神を護ろう、9条を護ろう、日本に生きるすべての人のいのちを大切にしよう、人格の尊厳を何にもかえがたい宝としよう、そのようなことを願い、行動している皆さまも又、神の子たちに他なりません。今、神は皆さまに「愛する神の子たちよ」呼びかけておられます。
今はクリスマスのシーズンです。クリスマスとは、神の御子でいらっしゃるイエス・キリストがお生まれになった日のことです。このイエスの誕生には、明確な目的がありました。それは、この世界に平和を実現するためです。ただし、主イエスが言われた平和とは、武力による安全保障のことでも、単に戦争のない状態のことでもありません。それは、神の平和、キリストの平和です。キリストの平和とは、神の前に人間が安心して生きることができる、そのような世界のことです。神に自分のあるがままで愛され、私たちも神を愛し、そして自分を愛するように隣人を愛する、愛と喜び、いのちと平和に満ち満ちた世界のことです。人間とは、地上に既に始められているこの神の平和の中でこそ人間らしく生きれるのです。私たちは誰でも、主イエスが作りだしてくださったこの神の平和にあずかるように、言い換えれば、神の国、天国へ入るように招かれているのです。ちなみに、キリスト教とは、人間を本当の人間にするための筋道を明らかに示すものなのです。
しかし現実の世界、この国の現実は、いよいよ人間らしい世界から遠く離れて行こうとしています。私どもの教会は、東日本大震災以来3か月に一度、教会でチームをつくって現地に赴いて被災者支援を継続しています。被災当初は、滝の水の町の皆さまからも多くの支援物資をいただきました。この場をお借りして、あらためて感謝申し上げます。しかし今なお、被災者の苦しみは続いています。むしろ深まっています。とくに、フクシマの仮設で出会った方々の苦しみは、想像を越えるほどものです。
戦争も原発事故も、人間の生命はもとより動物も植物も大地も、すべてを傷つけるものです。これこそ、神の平和を破壊することです。ところが今、政府、与党は、隣国をあおって自分たちが危機をつくっているにもかかわらず、国民の生命と財産をまもるためだとか、まったく偽りの理由をもって、戦争する国家つくりのために、情熱を傾けています。今回の特定秘密保護法とは、要するに、一人の人間のもっとも大切な心の自由、信じる自由、表現する自由つまり人間の尊厳を取り上げて、いざとなれば、国民をして人を殺す道具とするためのものです。既に第一次安倍内閣によって教育の憲法であったすばらしい教育基本法は改悪されました。教育の現場では、いよいよ、国家のために国民があるのであって郷土を護るために戦うべき時には戦いなさいという恐ろしい思想教育が進んで行くと思います。すべては、アメリカの傘の中で、いばっていられる国をつくりたい、そのために9条を破棄したいと考えているのだと、わたしには見えます。それは憲法の前文にある「国際社会で名誉ある地位を得る」どころか、むしろ軽蔑や憎しみの対象になってしまうのではないでしょうか。
聖書によれば、確かに神は、神の平和を前進させるために人類に国家と為政者たちを与えることを良しとされました。しかし、それは、わずかの力ある人々が莫大な利益を獲得するために、大勢の小さな弱い人々を犠牲にすることまで含んでいません。それは、本来の国家から逸脱しています。教会は、これからも腰を据えて、いよいよ神から与えられる勇気をもって声を挙げ続けて行きたいと思います。おこがましいですが、皆さまにも今こそ、勇気を出して9条の会を盛り上げて行って欲しいと願います。そして、この集会のように、共に支持政党や宗教の違いも越えて、神の子どうし尊敬し合い、学びあい、話し合い、力を合わせて地上における平和を拡大して行きたいと願います。それができれば、こんなに嬉しいことはありません。
最後に、教会が信じていることをお伝えさせて下さい。神の平和の国は既に、主イエス・キリストによって、もうここに始まっています。この集会もまた、神の子たちの集いのはじまりです。主イエスがご復活して勝利されたのですから、平和を実現しようとする神の子たちの戦いもまた必ず勝利します。この希望は、神が与えて下さるものです。皆様の上に、この希望とクリスマスの祝福が豊かにありますように。そして、平和をつくりだすために、愛し合い、学びあい、話し合い、力をあわせてまいりましょう。