過去の投稿2014年6月8日

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★    先週の説教で、日本国憲法に基づいて原発再稼働の差し止めを決定した福井地裁の判決分について、取り上げました。同時に、キリストの教会の権威と、それにもとづく使命と責任を確認しました。現政府の目から見れば、地方裁判所など、まことに小さな権力でしかないのでしょう。司法の長である最高裁判所を政府の力で動かして見せるという自信をもっているのでしょう。既に、国会など、恐れるに足らずと考えて、総理の判断で憲法解釈を変更できるし、それこそ、自分の「責任」だなどとうそぶいています。さらに、マスコミと経済界はこの政府とのトライアングルでがっちりと結ばれて、国民を欺い(=操作)ています。自分たちの権益、利益追求のためなら、たとい、今の世代や将来の世代がどうなろうとも自分の責任ではないとうそぶく態度で、原発を保持し、推進しようとしています。

☆  しかし、決して諦めて抵抗することを止めてはなりません。市民に無力感を与えることこそ、彼らの狙いであり勝利だからです。既に多数の国民が憲法、とりわけ9条の価値を認め、擁護しています。原発再稼働に反対もしています。しかし、それならなぜ・・・。そこに「この世の権力」の悪魔的構造があります。権力は、結局「お金」と結びつきます。聖書にあるように、「経済的豊かさ」がすべての人間を暴力的に支配しています。これをより多く得られる人が優れた人間だと考え、「分かち合う」生き方(天に宝を積む)ではなく、自分を富ませる生き方へと強力に引きずられて行きます。こうして、まさにほんの一握りの人々の手によってでも、現実には時の「政府」の決断によって「開戦」すらしてしまえるのです。そうなると、聖書が言うように、まさに究極のところは、「たったひとりの人間が、神の目に立てるかどうか」、「神の前に立つ人間となること」、「救われること」によって、世界は変えられて行くという「聖書のビジョン」の真理性が見えて来るはずです。

★  同時に、それを阻止するこの世における手だて、方法は、「日本国憲法」にあります。前文で、高らかに、国民主権が宣言されています。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」したのです。しかし今まさに、この憲法が葬り去られ、戦争の惨禍が現実味を帯びています。中国に対して対話ではなく非難することによって、国民の生命と財産を逆に危機へと陥らせています。

☆  このような危険な時代のただ中で、私どもは、使徒言行録から、使徒ペトロの第二回の説教を学んでいる最中です。憲法をもとに裁判官が判決分を朗読したことと、私どもキリストの教会が、聖書をもとに神の判決文を朗読することとが似ていることに気づかされます。教会が告げる判決は、「神による永遠の判決」です。そのことを考えるだけでも、キリストの教会が国家の下にあるように見えて、実は、国家の上にあることを私どもは知らされるはずです。「国家」は、教会の歴史の中で、現れては消え、現れては消えてきたものでしかありません。(私どもには蛇足と思いますが・・・――ただし、その国家は神のゆるしの中で、市民と教会のために立てられていることを認める範囲のなかで、まさに神からの権威を帯びています。しかし、この国では、この限界を、彼ら為政者は認めようとしない現実があります。――)私どもには、特に預言者として「教える」責任、「伝える」使命があります。すべての人に、「金銀によってではなく、イエス・キリストによって立ち、歩きなさい」と心から勧めるのです。神の判決は、2000年前のゴルゴタの十字架の上、墓の上で、下されました。罪人が罪あるままで、悔い改めて主イエスを信じるとき、つまり、神に立ち帰るとき、罪は消し去られ、新しい人間としていただけるというすばらしい、ありえないほど恵み深い判決です。他方、悔い改めなければ、自分の罪の中で、現在の暗黒のまま、死後は永遠にそのままの状態になるのです。この、全人類への神の判決文は、新約に記載されています。世々の教会はその時代の中で、この判決文を朗読し続けます。ただし、この判決文がその時代の諸課題に対して、何を意味するのかつまり、そこに、「説教」が伴わなければなりません。あのエルサレムの最初の教会のように、聖書をこの時代の中で説き明かすことによって、教会は、立ち、歩きだし、躍り上がって神を賛美し、多くの人々にもこの救いを分かち合うことができるのです。このときの「説教」とは、主日礼拝式の説教だけを意味していません。全信徒が遣わされた生活の現場における「証言」をこそ、含むのです。

★☆★   受付に「原発メーカー訴訟について、私どもは以下要望致します」という題の書類を設置致しました。これは、相馬牧師も原告の1人となっている裁判の署名用の書類で、東京地方裁判所宛に提出されるものです。原告は2000名を越え、渡辺信夫先生もそのお一人です。改革派教会としてはすでに2012年10月16日に大会として「原発廃止」の態度を公に示しており、今回はその手段の一つとして皆様に呼びかけています。10数枚ありますので、持ち帰り周囲の方々へ呼びかける事も出来ます。ご活用下さい。 (oo執事)